「安定した生活を得たいため賃貸ではなくマイホームが欲しい」、「頑張って働いている
のだからちゃんとしたマイホームが欲しい」など様々な理由でマンション購入を考えてい
る方もいらっしゃるかと思います。ただマンションを購入するというのは、賃貸には無い
メリットも多々得られますが、一方で賃貸から比べてリスク、デメリットとなる部分も同
時に生じてきます。

今回はそんなマンションを購入した場合に生じてくる特有のリスクをご紹介していきます
ので、マンション購入を検討している方は是非ご参考ください。

1.賃貸と比べた場合のリスク

マンションを購入すると、「月々の賃貸料の心配が無くなる」、「大家の都合で突如立ち
退きされたりする心配がなくなる」など賃貸マンションに比べメリットも多々生じてきま
すが、当時に賃貸マンションでは本来起こらないリスクも生じてきます。

ここでは賃貸マンションと購入マンションを比較した場合における購入マンション特有の
リスクについてご紹介していきます。

1-1 ランニングコストが増える

マンションを購入する場合、賃貸マンションよりもランニングコスト(初期費用)が増えて
きます。賃貸マンションの場合、ランニングコストというのは敷金・礼金・仲介手数料と
なり、高い場合でも30~50万円程度の資金があれば大抵のマンションは賃貸出来ます。

一方マンション購入となると敷金・礼金が無い代わりに多額の購入費用が発生します。
一括で購入した場合は数千万円にものぼるマンションの本体価格を用意しなければなりま
せん。ローンを組んだ場合でも頭金が必要となり、例えば3000万円のマンションであれば
500万円前後の頭金は必要になってきます。この他中古マンションなどの場合は仲介会社に
支払う仲介手数料が別途必要となります。

このため、マンションを購入する場合は最低でも数百万円のランニングコストが必要と
なってきますので、手元に資金が十分にない方は大きなリスクとなってくるでしょう。

1-2 修繕費が掛かる

一軒家・マンション問わず建物というのは月日が過ぎるにつれて嫌でも劣化が進んでいき
ます。このため新築のマンションであっても、5年、10年と月日が経てば外壁リフォーム・
内装リフォーム・設備の修理など様々な修繕費が発生します。
賃貸マンションの場合は修繕費を負担するのは主に大家となりますが、マンションを購入
した場合は基本的には自分で修繕していかなくてはなりません。(外壁リフォームなどは
マンション管理者が負担する事もあり)この修繕費分が大きなリスクとなってきます。

修繕費は、例えば1LDKマンションの内装リフォームであれば業者にもよるものの最低でも
200万円~300万円程度の費用が掛かってきます。概ね10年程度を目安にリフォームはどう
しても必要になってきますので、この修繕費分は費用的なリスクとして頭に入れておかな
くてはなりません。

1-3 固定資産税が掛かる

賃貸マンションの場合、固定資産税は掛かりませんがマンションを購入した場合は自分の
所有物となるため固定資産税が発生してきます。固定資産税は毎年支払う事となり、支払
い税額は物件の価値(価格・広さ・築年数など)によって細かく計算された上で決まります。

例えば2000万円程度のマンションであれば、あくまで目安となりますが年間10万円前後の
固定資産税が発生していきます。この毎年支払う固定資産税も地味に重荷となってきます
ので、費用的なリスクとなります。

1-4 手軽に買い替えが出来ない

賃貸マンションの場合は気軽に手放せるため「マンションが自分に合わない」、「転勤や
転職などで住む場所を変える必要がある」、「気分転換に住む場所を変えたい」といった
場合に柔軟に対応出来ます。一方マンションを購入してしまうと、手続きが複雑になるた
め気軽に手放したり買い換えたりする事はなかなか出来なくなってきます。また、価格的
にも確実に購入時よりは売却価格は下がりますし、場合によっては買い手が付かず修繕費
や固定資産税が奪われるだけのお荷物となってしまう事もあります。

仕事の事情やライフスタイルや心情の変化などで、住む場所を変えたいという事はいずれ
起きかねませんので、そういった場合に柔軟に対応していけない事もマンション購入のリ
スクの一つとなってきます。

この様に、一見賃貸とさほど変わらない様に見えても、マンションを購入してしまうと
賃貸にはないリスクが多々生じる場合があります。

2.一軒家と比べた場合のリスク

一軒家とマンション、マイホームとしてどちらを購入するかで迷っている方も多いかと思い
ます。マンションは「設備が優れている」、「防犯性が高い」、「見晴らしが良い」など
一軒家と比べメリットとなる部分もありますが、同時にリスクとなる部分もあります。

ここでは一軒家とマンションを比較した場合におけるマンション特有のリスクについて
ご紹介していきます。

2-1 同じ価格の場合はマンションの方が狭い

全ての物件に言える事ではありませんが、傾向としては、同じ価格であれば一軒家よりマ
ンションの方がサイズ(総面積)が小さくなる事が多いです。特に郊外などに行くと、同じ
価格でも一軒家とマンションでは1.5倍近くサイズに違いが出る場合もあります。また、
たとえ同じサイズであったとしても、一軒家は1階と2階でフロアが別れていますので脳が
別の空間があると認識し、心理的にも広さを感じられます。一方マンションは1フロアし
かないため、サイズ自体は変わらなくてもどこか狭い感覚が払拭できず、窮屈な気持ちで
生活する事となる場合が多いです。

やはり広さというのも快適に生活する上では重要になってきますので、窮屈な思いをした
くない、より広々とした家で過ごしたいという方にはマンションのサイズは一軒家に対し
てリスクになってきます。

2-2 自由にアレンジ出来ない

一軒家であれば、極端な話、外壁を自分の好きな色に変える、壁や床を壊して自分の好き
な様な構造にするなど基本的に何をやっても自由です。一方マンションの場合は、たとえ
購入したマンションでもマンション本来に関わる様な構造の変更、上下左右の方に迷惑が
掛かるような構造の変更は基本的にNGです。自由に建物や部屋のアレンジや改修が出来な
いのもマンションならではのリスクとなってきます。

2-3 マンションのルールに従う必要がある

マンションはたとえ購入した場合でも、荷物の搬入・ペットを飼う・インターネット回線
などのタイプ・ゴミ出しの方法などそれぞれのマンション定めているルールに従わなくて
はならなくなります。こういった事も一軒家であれば基本自由ですので、ルールに煩わし
さを感じる方にはリスクとなってきます。

2-4 騒音問題

マンションはたとえ購入した場合でも、近隣の方への騒音には日々注意していかなければ
なりません。一軒家ですと建物自体が隔てているため、たとえ家の中で大音量で音楽を聴
いたり、騒音の出る作業などをしても近隣にはさほど騒音は響きません。一方マンション
の場合は、壁に防音下降が施されているとは言ってもすぐ壁の向こうには別の方が住んで
いますので、同じ大きさの騒音であれば一軒家より近隣に迷惑が掛かりやすくなります。
この騒音常々を気にする必要があるという事も、長く住む上ではリスクとなってきます。

2-5 出入りが苦労する

一軒家の場合は、玄関を抜ければ直ぐ外に出られますので、外出時や帰宅時の出入りがス
ムーズです。一方マンションでは、玄関を抜けロビーを抜けやっと外に出られます。高い
階層に住んでいる方や大規模なマンションに住んでいる方であれば、余計に外に出るまで
の苦労は大きくなってきます。ちょっとコンビニにいく程度でも一軒家とマンションでの
苦労は大きく変わってくるので、それが何年も続くとなるとやはり大きなリスクとなって
くるでしょう。またたとえロビーまでの距離はさほど遠くはなくても、何度もドアなどを
開ける事で心理的にも煩わしさを感じることもあります。

2-6 駐車場や庭が無い

一軒家の場合は、駐車場が目前にあり直ぐに車に乗り込めますし、洗車や車いじりなども
気軽に行えます。また庭もあるので、庭でガーデニングをしたり日光浴をしたりして過ご
す事も出来ます。

一方マンションですと、駐車場が建物と離れている場合も多く、また洗車などもし難くな
ります。庭についても、最近は高額なマンションであればベランダに庭が作れるタイプの
マンションもありますが、やはり人工的な庭となるためじかに自然と触れ合うガーデニン
グなどは難しくなります。このため車をよく利用する方、庭を使って趣味を楽しみたい方
などには一軒家よりリスクが多くなってきます。

この様に、一軒家に比べマンションは窮屈な思いをする事や煩わしい重いをする事がやは
り多いです。特にこれまで一軒家で過ごしてきた方がマンションを購入する場合は、これ
らの点に注意した方が良いかもしれません。

3.マンション売却時のリスク

「購入したけれど実際に住んだら不満点が多かった」、「職場やライフスタイルの変化で
不要になった」、「金銭的に厳しくなり売却する必要ができた」などで、将来、購入した
マンションを手放さなくてはならない事もあるかと思います。
マンションの場合、そういった将来の売却時にいくつかリスクが生じてきます。

3-1 中古マンションは価格が下がる

マンションは、設備の充実さ・デザイン・耐震精度・防犯水準など一軒家より細かく査定
されますので、売却価格がシビアになります。加えてマンションを求める方は新しさや設
備を重視する方が多いため、まだ比較的新しいマンションであっても、”中古”になっただ
けで価格が大幅に下がる恐れがあります。更に言えば近年は再びマンションブームの傾向
があり、最新設備の充実した品質の高いマンションが続々と建築されていますので、需要
過多な状況となってきています。

そういったライバル物件相手にマンション売却をするとなると、売却価格の値下げは避け
られませんし、例え売却価格を下げたとしても、余りに築年数の古いマンションや設備の
古いマンションとなると、そもそも買い手が付かないという状況にも陥る事があります。

この売却価格低下の問題が、金銭的に大きなリスクとなってきます。

3-2 マンション相場は上下が激しい

マンションというのは価格相場自体の上下も激しいです。マンションの場合、例えば好景
気となれば不動産投資目的やセカンドホーム目的としての需要も流れ込んでくるため、マ
ンションの価格が総じて上昇していきます。一方で、一度景気が悪くなったり社会情勢が
悪くなってくると価格相場にダイレクトに影響してくるため、総じてマンション価格が低
下していく可能性が高いです。特に近年は新しいマンションが続々と建築されていますの
で一種のミニバブルの様な状況となっており、今後情勢が変わればマンション相場に大き
く影響してくる可能性があります。

今は価値があると見込まれているマンションであっても、5年後、10年後に売却する事と
なった場合は売却価格が大きく低下する恐れもあります。この相場の不安定さもマンショ
ン売却におけるリスクの一つとなってきます。

3-3 消費税が掛かる

これは一軒家・マンション問わず言える事ですが、不動産を売却する場合、消費税が”売却
時にも”発生します。不動産売却に掛かる消費税は日用品と同じく8%です。たかが8%と言
えども、例えば2000万円のマンションであれば160万円になりますので見過ごせない額と
なります。マンション売却ではこの消費税分が確実に費用的なリスクとなってきますので
頭に入れておく必要があります。

また消費税は今後税制改正により10%に増税される予定です。5年後、10年後に売却すると
なるとおそらく消費税は10%となっているかと思われますので、10%分の費用はリスクと
して折込む必要があります。なお不動産の消費税は建物価格で算出され、土地の売買では
消費税は発生しません。

3-4 土地として活用出来ない

例えば長年使用して老朽化が進み物件が売却困難となった場合、一軒家であれば「整地し
て土地だけを売却する」、もしくは「土地を資産運用したり趣味として活用する」という
道も描けてきます。一方マンションの場合は、売却困難となった部屋だけを整地して土地
として利用する事は物理的に出来ません。そういった場合は明らかに格安の価格で売却す
るか、もしくは売らずに持ち続けるかの道しか無くなってきます。この売却困難になった
場合に土地として2次利用出来ない事も、マンション売却におけるリスクとなってきます。

この様に、マンションはいざ売却する事となると何かとリスクが増えてきます。生涯その
マンションに住み続けるという意気込みであれば余り関係無いかもしれませんが、途中で
売却する可能性がある方はこういたリスクも頭に入れておく必要があります。

4.災害や人間関係のリスク

マンションでは、災害問題や人間関係の問題などマンションならではのトラブルが生じし
ます。そういったマンションならではのトラブルのリスクについてご紹介していきます。

4-1 耐震性の問題

近年、マンションの耐震性の問題が続々と浮上してきています。マンションは一軒家より
耐震性や強度が高く求められますが、ハードルが高い分、耐震性をうやむやに誤魔化して
いるマンションも実際多いのが現状の様です。また建築段階では耐震性は問題なくとも、
長年の劣化で基準の耐震性が満たせていないマンションも実際数多い様です。マンション
は実際に地震などが起きた際にその耐震性が大きく問われますので、特に中古マンション
などを購入する際は耐震性のリスクを十分考えた上で検討する事をおすすめします。

4-2 火災時のリスク

一軒家であれば自分の家の火の元に注意しておけば火災というのは大抵は防げます。(密集
地などでは近隣火災に巻き込まれる事もありますが)一方、マンションの場合は自分の家の
火の元に注意していても、上下左右の住民の家で火災が起きたりするとそれに巻き込まれ
る可能性が高くなります。また一軒家の場合は、火災が起きても直ぐに非難出来ますが、
高層マンションの高層階に住んでいる場合などですと非難に時間が掛かり、時には命の危
険に晒される事もあります。
こういった火災によるリスクの高さもマンション購入におけるリスクの一つと言えます。

4-3 人間関係のトラブル

特に賃貸と分譲が入り混じっているマンションなどですと、ご近所に住む方が常々入れ替
わります。このため近所付き合いも希薄になりがちですし、自分と価値観や性格が合わな
い方と出くわすケースも増えてきます。時には違法業者などがマンションの一室を利用す
る事もあるでしょう。マンションにはそういった特色がありますので、やはり近所との人
間関係のトラブルや近所への不満が何かと増えます。この点もマンション購入におけるリ
スクの一つと言えます。

この様に、マンションだからこそ発生するトラブルというのもマンションを購入する際に
は押さえて置きたい部分です。

5.まとめ

以上の様な事が、マンションを購入するにあたってのリスクとなってきます。マンション
というのは住む上ではやや癖のある部分もありますし、価格も高額ですのでいざ購入して
から「やっぱり違うの買おう」と日用品の様に手軽に乗り移れるものではありません。
ですのでマンションを購入する場合はメリットだけでなく、リスクやデメリットなる部分
も十分に理解した上で、購入を検討する事をおすすめ致します。